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2011年1月15日土曜日

袋貼り作業

 4階に懲役として移動した日に、性格診断テストのようなものと、小学生レベルの学力テストがあり、その後別の部屋で「分類」と呼ばれる個別面談がありました。その時面談したのは看守ではなく、Yシャツを着た、あきらかに看守とは違う雰囲気の職員でした。
 書類を見ながら、「どうして無免許で実刑になったんですか?」と聞かれ、それはこっちが聞きたいことなので、「いやー、多分長い間無免許で、たちが悪かったからだと思います。」と答えるしかありませんでしたが、その人は「私はあなたの様なケースの人は初めてです」と不思議そうに首をかしげていました。そして、行きたい刑務所はあるかと聞かれたので、「特にありません」と答え、5分もかからずに一通りの面談が終わりました。
 次の日に看守がやってきて、「昨日の分類の結果、お前は短期刑ということで、移送はないから」と言われ、私は8月10日までの刑期を、この房で過ごすことになりました。
 刑務所に行ったことがないので、行かずに済んだことが良かったのかどうかわ分かりませんが、少なくとも刑務所では独居房ではなかったろうし、他の人とも話ができて、もう少し太陽の光を浴びられただろうと思います。
 入所する前に調べたところによると、関東の交通刑務所は千葉県市原市にあり、味噌と醤油を作る作業があるということだったので、作業自体を多少楽しみにはしていたのですが、ここでの作業は、朝から晩まで房の中での袋貼り作業です。週に2回の風呂と、平日30分の運動の時間以外は、房からは出られません。ただ悶々と、紙袋を折り続けなければなりません。枚数のノルマがあるわけではありませんが、それほど根を詰めていなくても、単純作業独特の疲労感があります。
 袋貼りは、デパートや鰻屋、有名ブランドや饅頭屋など様々な業種の紙袋を、「ゴリ」と呼ばれる道具と両面テープを使って折って貼ります。袋の大きさや貼り合わせ方もまちまちなので、タイプの違う袋は掃夫の人に折り方を教えてもらいます。1日に2種類ほどを、平均80枚くらいは折りますが、夕方には結構くたくたになります。慣れないうちはケツが痛くなり、変な体勢で作業していると注意されるし、薄っぺらい座布団の下に毛布を敷いているだけで、こっぴどく怒られます。何度も注意されて懲罰になった人も結構いました。もちろん、居眠りなどはもってのほかです。
 袋貼りは朝7時半から夕方4時10分まで、昼食と休憩時間を除くと、ピッタリ8時間の作業時間ですが、ここでは袋の枚数ではなく、時間給で報酬が支払われます。時給5円で日給40円です。ゼロの数が2つ違うような気がしますが、ここは拘置所であり、作業しているのは受刑者です。給料ではなく、あくまでも作業報酬なのです。それでもみなさんサボったりもせず、中には一日120枚以上作る人もいました。


6月は20日作業して1352枚作りました。この月の作業報酬は869円でした。
 

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