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2011年1月7日金曜日

土曜日のすごし方~日記より~

 5月22日(土) 晴
 
 目が覚めてしまった。朝5時頃だろうか。夜中も1,2回目が覚める。
 夜10時頃寝付いて次に目が覚めたとき、そろそろ夜が明けるかなと思っていたが、まだ電車の上り下りの音が結構していたので、多分1時間位しか経っていなかったのだろう。また寝入ってしまった。
 時計がないので困る。時間を知らせないことに、何の意味があるのだろう。よくわからない。それとも、ここの低次元の人間には、時間を知らせる必要などないということなのだろうか。

 今日は土曜日。土日祭日は起床時間が30分ずれて7時30分になる。朝食が8時で、夕食は平日が16時20分のところ16時になり、お昼は11時50分といつもとかわらないので、土日は朝食、昼食、夕食の間隔が4時間になる。
 体を動かしていないので、全く腹は減らないのだが、他に楽しみがないのと、残すのがもったいないので、結構量のある食事を完食し、そして間食もする。
 今までは肉体労働をしていても、朝昼食べずに夜も酒につまみ程度のことも多かったのに、ここに来てから体を動かしもせず、三食しっかり食べているので、現在確実に太りつつある。腹も少々メタボぎみになってきた。

 朝は朝食後、部屋を掃いて雑巾がけをする。床と洗面台と便器を丁寧に拭いて、すっきりしてからコーヒーを飲む。強制されていることではないが、時間をもてあましていることもあるし、週に2日しか風呂に入れないために、かなり髪の毛が抜け落ちていて、掃いても掃いてもまたどこかに一本落ちている。
 風呂の回数のせいではなく、年齢とストレスのせいかもしれない。とにかく、掃除をしてすっきりしてからインスタントコーヒーを入れてゆっくり飲む。.....今がその状態だ。(.....と、また畳に一本見つけてしまった.....)
 平日は午前中、購入品の受付や運動の時間や3日おきの風呂、日によってはゴミの回収や官本の貸し出しやらで、廊下を先生(ここでは看守を”先生”と呼ぶ、何故だ?)や警備隊や掃夫(この階の住人の面倒を見ることを仕事とする受刑者)の人たちが忙しく働いているのだが、土日はそれらもないため、かなり静かだ。
 丁度9時になったらしく、ラジオ放送が始まった。今日はベイFMだ。
 さっき、押切モエの番組で「いきものがかり」の曲が流れ、サビの「♪~帰りたーく なーったよー♪~君の待つ家にー♪~」のところを、大声で一緒に歌う声がどこかの房からか聞こえてきた。
 せつないのぉ。

 土曜日の昼食は大きなコッペパンにピーナツバターにチーズ、シチューにおしるこ。このおしるこがよくわからない。何故パン食におしるこなのか。シチューは良い。大変結構。うまいし大正解。しかし、何故おしるこ?????浸して食えとでも言うのか? ん? そう思ってやってみた。「?」
「!!」.....以外とうまいかも.....。
  とにかく完食する。腹はふくれる。

 
 夕食後の点検(点呼)が終わり、今日のスケジュールは消灯のみとなった。
 今日は午後から薄曇りで、窓の向こうの鉄線入り曇りガラスは、夕陽の落ちる時間になっても薄い灰色だった。その曇りガラスの下のルーバーのほんの少しのすき間から、ちょっとだけ外の地面が見える。この建物から30~40m先までしか見えないが、今日は午後からそこでこの施設の外構工事をしている様子が見えた。
 電設のハンドホールの設置作業で、2m角で深さ1.5mのコンクリート製ハンドホールを一段一段据え付けていた。
 昔、親父の会社にいた頃、大きな建築現場では俺もよくやっていた光景だ。
 汗と土にまみれた土木作業は、毎日が充実していた。若かったせいもあるのだろうが、疲れが心地よかった。
 ここに入る前、K邸の現場作業を3人で毎日やって、やっと完成させることができた。やはり汗と土にまみれて充実した毎日だった。俺にはこういう作業が向いているのだろう。毎日コツコツと何かを造り上げていく作業は無性に楽しい。スコップで穴を掘るのでさえも、「地球の裏側まで掘ってやる!」くらいの勢いで夢中になってしまう。バカなのだろうか。

 いままでの自分の人生のいろいろな場面で、自分のだらしなさ、無力さ、情けなさを感じ、後悔することも多い。そして44歳にもなって、こうして無免許でこんな施設に入っていることが、今までどれだけ自堕落な、甘い人生を歩いてきたかということを証明することになってしまった。
 どうすれば、もっとまともな、正しく誠実で、清く美しい人生を送れるのか、残り少ないこれからの人生を、悔いのないように生きることができるのか、もう一度、そしてもっともっと深く考えなければいけない。
 そして、せっかく与えられたこの3ヶ月の間に、その答えを導き出さなければならない。

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